南都:冬姫ッ!ゴメンね、お待たせ!! 冬姫:いいえ、時間ピッタリよ。じゃあ、行きましょうか 南都:うん!…もうホント助かっちゃった……付き合わせちゃってゴメンね 冬姫:全然構わないわ。 夕貴君の誕生日プレゼント、良いのが見付かるといいわね 南都:それなんだけど…夕貴って何あげたら喜ぶかイマイチ良くわからないのよ 冬姫:夕貴君なら何だって喜んでくれると思うけど。 第一、南都ちゃんが一生懸命選んだものだもの。喜ばないと罰が当たるわよ 南都:そうよねー!この私が選んであげてるんだから無下に扱ったら地獄行きよ!! とは言うものの…本当に何あげよう… 冬姫:夕貴君の趣味関連のものは? 南都:夕貴の趣味…読書!じゃあ本屋ね!!よし、早速行こー! ―本屋― 南都:本と言っても何を選べば良いのやら…… 冬姫:南都ちゃんが面白そうだと思う本で十分だと思うわよ? 南都:う〜ん…うーん……探してみる 冬姫:じゃあ私は向こうにいるわね 南都:うん 冬姫:何か良いの見付かった? 南都:何て言うか適当に選んで来ちゃった、あはは……冬姫も何か買ったの? 冬姫:ちょっと参考書をね 南都:参考書……って、そうだ! あのね冬姫、実はもう一つ頼みがあるんだけど… 冬姫:なぁに? 南都:冬姫は料理上手でしょ? だからね、その〜…クッキーの作り方で良いから教えて欲しくて……ダメかな? 冬姫:そんなことならお安いご用よ。じゃあ材料買いに行かなくちゃね。 今日の夜までに間に合わないものね 南都:うん!有難う、冬姫!! 冬姫:いえいえ、どういたしまして。でもその台詞はクッキーが無事に出来てからね? 南都:あはは、そうでした ―その夜・夕貴宅― 夕貴:なっちゃん…このクッキー……不思議な味がするね 南都:なぁんですってぇ?! あんた私がわざわざ冬姫にまで協力してもらって作ったクッキーを… どの面下げて不味いだなんて!! 夕貴:いや、不味いとは言ってないよ!ただちょっと…斬新な味だなぁと…… 南都:そんなワケないじゃない!ちゃんと冬姫に教えてもらったんだから! ユウ、味覚障害にでもなったんじゃ………まずッ!! 夕貴:いや、そんなハッキリ…… 南都:うそぉ…何よコレ。すっごい不味いわよ……ごめんね、ユウ。疑って…… 夕貴:いや、僕は良いけど……ごめん、僕こそ気が利かなかったよね。 折角なっちゃんが作ってくれたんだし、全部食べるよ 南都:ダメー!! 夕貴:ぇえっ?!な、何で? 南都:こんなの食べたらお腹壊す…ううん!食べてるうちに死ぬわ!! 夕貴:そんなことないと思うけど… 南都:あるの!絶対ダメ!! 夕貴:う、うん。わかった… 南都:もー折角ユウ誕生日だから美味しいクッキー作って喜んでもらおうと思ったのに… 私カッコ悪い〜っ!! 夕貴:そんなことないよ。 なっちゃん料理とか苦手なのにワザワザ冬姫さんに教えてもらってまで作ってくれたんでしょ? 十分すぎるくらいだよ、すごく嬉しい 南都:ユウ〜…っ!(感動。 もう今夜絶対寝かさないわ!! 夕貴:は? 南都:今夜はオールよ! 眠気ざましにミントやらコーヒーやら唐辛子やらを混ぜたクッキーがダメになった今、 根性で徹夜よ!! 夕貴:そんなもの入ってたの?アレ………って、え、や、なっちゃん…?何の話? 南都:ビデオの話。 さっきユウにあげた本買った時にビデオもいっぱい借りてきたから、オールで映画鑑賞会! 夕貴:本気…? 南都:勿論!誕生日なんだから、ちょっとでもパーッと、ね? コレもプレゼントの一端ということで!! 夕貴:ん〜…まぁ、そうだね。ちょっとくらいなら……うん。 そのプレゼント、有難くもらっておくよ 南都:そうこなくっちゃ! オマケ ―冬姫宅― 司:冬姫、このクッキー…愉快な味がする。お前が作ったの? 冬姫:私が作ったのはこっち。それは南都ちゃんが作ったの 司:ぅぐ…ッ!!やべぇ、食っちまった…!あいつ毒盛りやがったな?! この尋常じゃない不味さ、そうに違いない!!俺を殺す気だな?! 冬姫:そんなワケないでしょうが。でもそれマトモに出来たヤツなのよ… 司:これでか…!? 冬姫:最初はオーブンが爆発したり湯煎したチョコレートが分離し始めてプツプツした謎の物体が出来たり…クッキーどころじゃなかったもの。 黒焦げクッキーも沢山出来たわ。コレも余計なもの混ぜなきゃまだ良かったんでしょうけど…… 司:…あいつクッキーで人殺せるんじゃね? 冬姫:流石にそれはないでしょ。…あ、司 司:ん〜? 冬姫:コレあげる 司:なんだぁ?『猿でもわかる!カンタン古典』…って、ちょっと待て!冬姫?!何だよコレ…! 冬姫:見てわからない?参考書よ。次のテスト、せめて50点以上は採ってね? じゃないと、司よりむしろ教えてる側として私のプライドが許さないわ(にっこり。 司:んな無茶なあぁぁぁぁ〜〜〜ッ!!! 以上、6月18日の出来事。 |