けそうぶみあわせ−序章−


 ──昔昔の話を綴ろう。

 今となってはまるで夢の中の出来事にも思える悲しい物語を後世に残さんがため、私は筆を取る。

 私がこの目で見、そして感じたことを全て書き残そう。
 それが仮令あまりに浮世離れした出来事であろうが、それが私が見た現実。

 院も亡き今、時勢は高倉天皇の御世。
 院がご健勝であられた当時のことも、その真実を知るものも今は私しかいない。
 だからこそ、私が書き記さねばならないと思う。

 我が君・鳥羽法皇と、その寵姫であった玉藻御前の哀しい真実の物語を…──
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